親子で探る生物多様性

絵本と五感で発見!身近な自然の多様性を親子で探る手軽な体験アイデア

Tags: 絵本, 五感, 自然体験, 生物多様性, 親子遊び, 未就学児

絵本から広がる、五感で感じる身近な自然

未就学のお子さんと一緒に絵本を読む時間は、親子の絆を深める大切なひとときです。絵本の中の物語や絵に触れることで、子どもたちの想像力は大きく育まれます。この豊かな絵本の体験を、さらに身近な自然へと広げ、生物多様性への理解へとつなげることが可能です。

特別な準備や遠出は必要ありません。いつもの公園、家の庭、ベランダといった日常の空間で、五感(見る、聞く、嗅ぐ、触る)を使いながら自然と触れ合う体験は、子どもたちの好奇心を刺激し、豊かな感受性を育みます。今回は、絵本をきっかけに五感を使って生物多様性を親子で発見する、手軽で楽しいアイデアをご紹介します。

五感がひらく、生物多様性の扉

生物多様性とは、地球上に存在する多様な生命と、それらが織りなす豊かな生態系のことです。目に見える大きな動物から、土の中にいる小さな微生物まで、それぞれの生命が互いにつながり、影響し合いながら地球の環境を形作っています。

子どもたちが五感を使って自然と触れ合うことは、この生物多様性を感覚的に理解する第一歩となります。 * 視覚:さまざまな形や色の違いに気づくことで、多様な生命の存在を認識します。 * 聴覚:鳥の声や風の音を聞くことで、見えないところにいる生き物の活動や自然のリズムを感じ取ります。 * 嗅覚:花の香りや土の匂いを嗅ぐことで、植物や土壌の生命活動に思いを馳せます。 * 触覚:木の幹や葉っぱの感触を確かめることで、自然物の多様な質感やそれぞれの特徴を肌で感じます。

これらの感覚的な体験が積み重なることで、「世界にはたくさんの違うものがある」「それぞれが大切な役割を持っている」という生物多様性の根幹をなす考え方を、子どもたちは自然に受け止めるようになります。

絵本と楽しむ!五感で探る体験アイデア

ここでは、絵本を読んだ後にすぐ試せる、手軽な五感体験のアイデアをいくつかご紹介します。

1. 視覚で探る「多様な形と色の発見」

きっかけの絵本例: 「はっぱのいろいろ」(福音館書店)、「あおくんときいろちゃん」(至光社)など、色や形がテーマの絵本。

体験アイデア: 絵本を読んだ後、「この絵本みたいに、いろんな色の葉っぱや花を探してみようか」と声をかけて、近所の公園や庭に出かけます。 * 葉っぱの形比べ: 同じ種類の木でも、一枚一枚の葉っぱの形や大きさが少しずつ違うことに注目してみます。異なる種類の木の葉を並べて、その多様な形を観察するのも良いでしょう。 * 花の色探し: 公園で見かける花の色が、一つ一つ異なることに気づかせます。「赤い花と白い花、どこが違うかな」「この花にはどんな模様があるかな」といった問いかけは、子どもたちの観察力を育みます。

生物多様性とのつながり: 視覚を通じた形や色の発見は、自然界に存在する多様な生命の姿を子どもたちに伝えます。同じ種類の植物でも一つとして全く同じものがないこと、そして様々な種類の植物や虫がそれぞれの特徴を持っていることを視覚的に捉えることは、生物の多様性を身近に感じる大切な体験です。

2. 聴覚で感じる「自然のささやきに耳を傾ける」

きっかけの絵本例: 「おとがきこえる」(福音館書店)、「がたんごとんがたんごとん」(福音館書店)など、音に焦点を当てた絵本。

体験アイデア: 絵本を読んだ後、「絵本みたいに、いろんな音を探してみようか」と提案し、公園やベランダで少しの間、静かに耳を澄ませてみます。 * 目を閉じて音探し: 親子で目を閉じて、聞こえてくる音に意識を集中します。「どんな音が聞こえた」「何の音だと思う」と尋ねてみてください。鳥のさえずり、風が葉を揺らす音、虫の羽音など、普段は聞き流してしまうような音に気づくかもしれません。 * 音の発生源を探す: 聞こえてきた音の方向や発生源を、子どもと一緒に探してみます。鳥の鳴き声が聞こえたら、「どこにいるのかな」と一緒に空を見上げてみたり、草むらから虫の音が聞こえたら、そっと覗いてみたりします。

生物多様性とのつながり: 聴覚を通して自然の音を感じることは、目に見えない場所にいる生き物の存在や、自然界の活発な活動に気づくきっかけになります。多様な生き物がそれぞれの方法で音を発し、環境と関わり合っていることを、音を通じて体験することは、生態系の豊かさを間接的に理解することにつながります。

3. 嗅覚で知る「植物と土のいのちの匂い」

きっかけの絵本例: 「くんくんにおい」(福音館書店)、「においのき」(福音館書店)など、嗅覚をテーマにした絵本。

体験アイデア: 絵本を読んだ後、「絵本みたいに、いろんな匂いを嗅いでみようか」と誘い、植物や土の匂いに触れてみます。 * 花の香りを嗅ぐ: 公園の花壇や庭の花の香りをそっと嗅いでみます。「どんな匂いがする」「いい匂いだね」などと感想を伝え合います。ミントやローズマリーなどのハーブがあれば、葉をそっと揉んで香りの違いを楽しむのも良いでしょう。 * 土の匂いを感じる: 雨上がりの後や、土を少し掘り起こしたときに香る土の匂いを嗅いでみます。「土ってどんな匂いがするだろう」と問いかけ、独特の匂いを感じさせます。

生物多様性とのつながり: 嗅覚による体験は、植物が持つ多様な香りや、土壌微生物が活発に活動している土の健康状態を感じる機会となります。それぞれの植物が異なる香りを放つこと、土の中にたくさんの小さな生き物がいることで特有の匂いが生まれることを知ることは、目に見えない生命の多様性と、それらが織りなす複雑な生態系への興味を育むでしょう。

4. 触覚で確かめる「多様な手触りの発見」

きっかけの絵本例: 「ごぶごぶごぼごぼ」(福音館書店)、「てぶくろ」(福音館書店)など、触覚を刺激する絵本。

体験アイデア: 絵本を読んだ後、「絵本みたいに、いろんなものを触ってみようか」と声をかけて、身近な自然の多様な質感に触れてみます。 * 自然物タッチ&フィール: 公園や庭で、木の幹、葉っぱの表と裏、石、土などを手で触ってみます。「ざらざらするね」「つるつるだね」「ふわふわしてる」など、様々な感触を言葉にして共有します。 * 目を閉じて感触当てクイズ: 目を閉じた状態でいくつかの自然物に触れてもらい、「これは何かな」「どんな感じがするかな」とクイズ形式で楽しむのも良いでしょう。

生物多様性とのつながり: 触覚を通して自然物の多様な手触りを感じることは、それぞれの生物や無生物が持つ個性や特徴を具体的に理解する助けとなります。木の種類によって幹の肌触りが違うこと、葉っぱ一枚一枚にも固有の質感があることなどを肌で感じ取ることは、自然界の多様な存在への気づきを深めます。

日常の中で育む、生物多様性への心

絵本を起点とした五感を使ったこれらの体験は、準備に時間をかけることなく、いつもの日常の中で手軽に実践できます。子どもたちの「なぜ」「どうして」という好奇心を大切にし、親子で一緒に「発見」する喜びを分かち合うことが重要です。

身近な自然の中で五感を働かせ、生物多様性の豊かさに気づく体験は、子どもたちの豊かな感性と探求心を育み、将来にわたって自然を大切にする心を養う土台となるでしょう。このウェブサイトでは、これからも絵本から広がる様々な生物多様性体験のアイデアを提供してまいります。